2014年02月09日

落語入門24〜鰍沢〜

東京は16年ぶりの大雪。雪を舞台にした噺と言えばやはりこの名作。
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身延山へお詣りする旅人。小室山で毒消しの護符を受けてご本山へ。大雪の中、雪下ろしの三度笠、回し合羽に道中差し、振り分けの荷物、足腰は厳重なこしらえ。船着き場の鰍沢(かじかざわ)に向かったが、行けども行けども人家はない。あたりは暗くなり、凍え死にするかと思った時、遠くに灯りが見えた。
家の女に鰍沢に出る道を聞いたが、分からない。一晩の宿を頼んだが、食事も布団もないが雪をしのぐだけなら良いと言う。広い土間と奥の壁には獣の皮が2枚。そこに鉄砲があって猟師の家と分かった。

囲炉裏のたき火にあたりながら女を見ると26、7。色白で鼻筋の通った目元に少し剣があるが、口元はしまって輪郭の良い顔立ち。顎の下から喉のあたりに突き傷があった。
女の名はお熊。江戸は浅草の方にいたと言う。

「ひょっとして、吉原の熊蔵丸屋の月の戸花魁じゃござんせんか」
「おまはんだれ」
「お酉様の晩に花魁の座敷に上がって世話になりましたが、改めて伺ったら『心中した』と聞きまして…」
「心中をしそこなって、品川溜めへ。女太夫になるところを危うく男と逃げて、ここに隠れているの」

亭主はここで熊の膏薬をこしらえ、町に売り歩いていると言う。旅人は胴巻きから25両の包みの封を切って、心付けだと半紙に2両包んで差し出した。
ここの地酒は匂いが強いからとお熊が作った玉子酒。下戸の旅人は疲れが出て、隣の三畳で眠りに落ちる。

お熊が酒を買いに雪の中に出たところへ、入れ違いに亭主の伝三郎が帰って来た。外は寒かったので残ったた玉子酒を一気に飲むと、急に苦しみ出した。
帰ってきたお熊はあわてて、
「何てことを。身延参りのカモを一羽泊めたんだ。胴巻きに100両はありそうだから、お前さんに仕留めてもらうまで、逃げられないように玉子酒にしびれ薬を仕込んだんじゃないか」

これを隣の部屋で聞いて驚いた旅人。しびれた体にむち打ってこっそり逃げ出した。毒消しの護符を雪で飲み込むと効いてきたのか、戻らなくても良いものを部屋に戻り、振り分け荷物と道中差しを取ると一目散。

物音に気づいたお熊は、亭主の仇と鉄砲を持ってぶち殺すと追いかける。
懸命に雪を蹴立てて逃げる旅人が行き着いたのは、そそり立つ絶壁。眼下には鰍沢。降り続いた雪で水勢が増し、激しい急流、切りそいだような崖。前は崖、後ろはお熊。
ひたすら合掌すると、雪崩で川底に投げ出され、筏の上へ。同時に道中差しがつなぎ止めてあった藤蔓を切った。筏は流れ出し、岩にぶつかってバラバラに。

一本の材木につかまって「南無妙法蓮華経」。
崖の上から、片膝ついたお熊が旅人に十分狙いを込めている。
「南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経」
お題目を唱えていると、銃声とともに弾は旅人のまげをかすめて後ろの岩にカチーン…。

「ああ、これも御利益。お材木(お題目)で助かった」m(__)m

(注)写真は歌川広重の『木曽路之山川』。鰍沢もこんな情景であったと思います。
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posted by 葵家 金太郎 at 05:57| 東京 ☀| Comment(0) | 落語 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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