
先日亡くなられた児玉清さん。紳士という言葉が相応しい数少ない俳優の一人だったと思います。
昨日、児玉さんの自叙エッセイ集「負けるのは美しく」を読み終えました。
温和な風貌や物腰とは想像もつかない、反骨精神にあふれた若かりし頃。それ故に映画会社や監督とぶつかり、冷飯と苦汁を味わった日々。
「足を踏み入れたとたんに馬鹿にされ、どうにもそれが口惜しく、それだけで俳優の世界に踏みとどまってしまった…」
「…どうせ負けるのなら、美しく負けよう。このことにこだわっていれば、もしかしたら、嬉しい勝ちの日を迎えられるかもしれない。いやこれは冗談だが、すべては負け方にあり、負け方にこそ人間の心は現れる、としきりに思うことで、心が静まったのだ」
こうして信念を貫いた、児玉さんの人生の勝ち負けは、今さら言うまでもないでしょう。
私も来月また一つ歳を重ねます。振り返れば恥の上塗りばかりの半生ですが、「負けるとも美しく」と心に刻みました。
歩みは遅いかも知れませんが、児玉さんのような60代、70代を目指して、まだまだ、まだまだ精進します。一歩、一歩…。
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